登記・起業・開業

事前準備から登記後にやることまで。会社を設立する方法(商業・法人登記)についてまるっと解説!

「会社の設立(登記)は難しいもの」というイメージをお持ちの方もいらっしゃるのではないでしょうか?
会社の設立は司法書士の方に依頼することが一般的ですが、やり方さえ知ってしまえばご自身でも意外とできてしまうものです。
今回は商業・法人登記の方法について事前準備から完了後に行うことまでまるっと解説いたします。

商業・法人登記とは

会社を設立しようと決めたら必ず行わないといけないのが商業・法人登記です。

商業登記は、会社(株式会社、合名会社、合資会社、合同会社等)について、法人登記は会社以外の様々な法人(一般社団法人・一般財団法人、NPO法人、社会福祉法人等)について、その商号・名称や所在地、役員の氏名等を公示するための制度です。

会社の情報を一般に公表することで会社の信用維持を図るとともに、安心して取引できるようにすることを目的としています。組織形態は前述の通り多種ありますが、いずれも法務局に登記を行う必要があります。

会社が登記を行うと、証拠となる登記全部事項証明書が法務局から発行され法人番号指定通知書が送られてきます。
登記事項は誰でも自由に閲覧できるので、ビジネスをする際に取引先の確認などに利用されています。

この商業・法人登記は商業登記法など法律で定められており、その手順に則って登録しなければいけません

商業・法人登記の手続きの前にやるべきこと

法務局に商業・法人登記するには事前の準備が必要で大きく分けると以下の6ステップにがあります。
それぞれの方法について解説いたします。

  1. 会社の内容を決める
  2. 本店住所に類似商号が無いかを確認する
  3. 商業・法人登記の印鑑を作成する
  4. 印鑑登録を行い印鑑証明書を取得する
  5. 定款を作成し認証を受ける
  6. 資本金を払い込む

1. 会社の内容を決める

まずは、商号(社名)、本店所在地、発起人、取締役、取締役会と監査役の有無、事業目的(事業内容)、資本金、事業年度など、会社の内容を決めておきます

商業・法人登記の事務は本店所在地を管轄する法務局若しくは地方法務局もしくはこれらの支局又はこれらの出張所が管轄登記所としてつかさどるものとされています(商業登記法第1条の3)。
つまり会社の本店をどこに置くかによって管轄登記所が定まり当該登記所に登記申請を行うこととなるので、本店は必ず決める必要があります。

例えばGMOオフィスサポートのバーチャルオフィスがある渋谷の場合は、東京法務局または東京法務局渋谷出張所で登記手続きを行うことになります。

登記所の管轄については法務局ホームページ(管轄のご案内)をご覧ください。

また、会社設立後に行う事業内容も決めておきましょう。

バーチャルオフィスで会社設立を検討されているかた
許認可が必要な事業によっては物理的なオフィスが必要である等により、バーチャルオフィスではNGケースがあります(不動産業や人材派遣業など)。
心配な場合は事前に各監督機関にご確認いただくことをオススメします。

2. 本店住所に類似商号が無いかを確認する

会社法において同一所在地に同一の商号は登記できないと決められています。
特にバーチャルオフィスの場合同じ住所を多数の法人が利用するため類似商号が重なる可能性が高くなります。
いくつか法人名候補を用意しあらかじめ確認することをオススメします。

商号が既に使われてるかどうかは国税庁のページで確認できます。

国税庁のページを開き「商号又は名称」欄に登記予定の商号を、「所在地」欄に登記予定の住所を入力すると登記されている法人情報が表示されます。(以下画像参照)
ここに登記予定の商号が表示されなければ、その時点では同一住所に同一の商号が登記されていない事になります。

検索画面
出典:国税庁 法人番号サイト
登記された商号の検索結果
出典:国税庁 法人番号サイト

3.商業・法人登記の印鑑を作成する

登記をするにあたり会社の実印が必要になります。
実印を作成とあわせて、設立後に利用する銀行印やゴム印も用意するとよいでしょう。

GMOオフィスサポートでは注文後最短翌日には発送できる印鑑セットをご用意しております。
安く、速く、長く使える印鑑を作りたいという方はぜひご利用ください。
※お申込みはバーチャルオフィスご利用開始後マイページから

ツゲ印鑑セット:15,000円(税込)
代表印(実印)、銀行印、角印、印鑑ケース、朱肉、捺印マット、電子印影データ
黒水牛印鑑セット:18,000円(税込)
代表印(実印)、銀行印、角印、印鑑ケース、朱肉、捺印マット、電子印影データ
ゴム印セット:6,500円(税込)
ゴム印4行、ケース、スタンプ台

4.印鑑登録を行い印鑑証明書を取得する

法人の印鑑登録を行うためには登記申請時に印鑑届書([法務局]>[登記事項証明書(商業・法人登記)・印鑑証明書等の交付請求書の様式] )という書類を提出することで手続きが完了します。

その際、手続きに「代表者の印鑑証明書」も必要なため事前に取得しておく必要があります。
代表者の印鑑証明書の取得は管轄の法務局窓口の他、オンラインでの取得([法務局]>[会社・法人代表者の印鑑証明書を取得したい方])も可能です。

なお印鑑証明書は発起人の分だけでなく、会社設立時の取締役全員分が必要となりますが、取締役会を置く場合は代表取締役の印鑑証明書だけを用意すれば問題ありません。

5.定款を作成し認証を受ける

会社の法律である定款を作成します。

定款には「絶対的記載事項」を明記する必要がありますが、それ以外の「取締役選任のルール」や「株券発行のルール」などについては決まりがございません。
そのため、自身の会社に合った事項を定款に加えていくことができます。

定款は司法書士にお願いするか、ご自身で作成することも可能です。
最近では設問に答えれば定款が作成できるサービスもあります。

マネーフォワードクラウド会社設立

絶対的記載事項(すべての会社の定款に必須)
  • 目的
  • 商号(社名)
  • 本店の所在地
  • 設立に際して出資される財産の価額または最低額
  • 発起人の氏名(または名称)と住所
株式会社の定款に必要な項目
  • 金銭以外の財産を出資する者の氏名または名称と、その財産の価額、および割り当てる設立時発行
  • 株式数
  • 会社の成立後に譲り受けることを約束した財産と価額、およびその譲渡人の氏名または名称
  • 会社の成立により発起人が受ける報酬、その他特別の利益、およびその発起人の氏名または名称
  • 会社が負担する設立に関する費用


作成した定款は公証役場で認証されることによって有効となります。
公証役場での手続きには、5万円の認証費用に加え、謄本交付手数料として1枚あたり250円が必要です。

定款の認証が済んだら出資金を銀行口座に振り込みます。

振り込んだ後は、

  • 銀行通帳の表紙
  • 表紙をめくった裏表紙(口座の名義や番号が書かれているページ)
  • 出資金の入金が記帳されたページ

それぞれのコピーを取って資本金が振り込まれたことを証明する「払込証明書」を作成し法人実印を押印します。


GMOあおぞらネット銀行のようなネット銀行の場合は

  • 金融機関名
  • 口座名義人
  • 口座番号
  • 振込人の氏名及び日付(振込みの日付と振込金額が記載された明細のページ)

が記載されたページをプリントアウトし、通帳がある場合と同じように「払込みがあったことを証する書面」に合綴すればOKです。

※複数のページにまたがる場合は割印を押印するか袋とじする必要があります。


書類作成の際、捨印を押しておくと、書類に誤りがあったときに修正が容易です(捨印がないと訂正ができず、書類を作り直すことになります)。
なお会社名義の銀行口座は会社設立後でなければ開設できないので、出資金は発起人の個人口座に振り込むことになります。

また不動産や自動車などの現物出資を行う場合には、その現物に対して「●●等を出資し、会社の所有とする」旨を定款に記載した上で、「財産引継書」や現物出資の「調査報告書」などの書類を作成してから登記申請を行いましょう。

払込証明書の例

商業・法人登記手続きの手順

前項までの準備ができたらいよいよ登記手続きを行います。

誤りがあると修正に時間がかかる場合もあるため、この手続きに不安がある場合は司法書士にお任せするのもひとつの方法です。

1.登記必要書類・登記申請書を用意する

会社登記する際に必要な書類は10種類あります。

  1. 設立登記申請書
  2. 定款(謄本)
  3. 登録免許税納付用台紙
  4. 発起人決定書(発起人議事録)
  5. 代表取締役、取締役の就任承諾書
  6. 監査役の就任承諾書
  7. 取締役の印鑑証明書
  8. 印鑑届書
  9. 出資金の払込証明書
  10. 登記すべき事項を記録・保存した記録媒体

1.設立登記申請書

設立登記申請書はフォーマットが決められています。
フォーマットの取得や注意事項はこちらをご確認ください([法務局]>[商業・法人登記の申請書様式])

2.定款(謄本)

公証役場で認証を受けた定款の謄本を1部用意します。
定款については2-6[定款を作成し認証を受ける]をご参考ください。

3.登録免許税納付用台紙

登録免許税納付用台紙とは、登録免許税分の収入印紙を貼り付ける台紙のことです。

株式会社の登録免許税は15万円あるいは資本金額×0.7%のうち高い方です。
収入印紙は郵便局などで購入し用紙の中心に貼り付けて提出します。

4.発起人決定書(発起人議事録)

発起人の決定書とは、会社の発起人が商号や目的、本店の場所などを詳細に決定したことを記載した書面のことです。

定款では詳細な住所や代表者などを記載していない場合は、この発起人決定書にそれらを記載する必要があります。

5.代表取締役、取締役の就任承諾書

就任承諾書とは、会社の役員に就任することを承諾したと証明するための書面です。
役員は会社から委任を受けて役員となるので、就任する際には承諾が必要なためです。
取締役が代表1名のみの場合は必要ありません。

6.監査役の就任承諾書

監査役の就任承諾書とは、監査役に就任することを承諾したと証明する書類です。
監査役を設置する場合に必要です。

7.取締役の印鑑証明書

定款を作成し認証を受けたときに取得した印鑑証明書と同じものです。
取締役が複数の場合は全員分を取得する必要がありますが、取締役会を設置しているときは代表取締役のみで大丈夫です。

8.印鑑届書

印鑑届書とは、法人実印の届出を行うために必要な書類です。
2-4[印鑑登録を行い印鑑証明書を取得する]をご参考ください。

9.出資金の払込証明書

出資金を払い込んだことを証明する書類です。
作成方法については2-6[資本金を払い込む]をご覧ください。

10.登記すべき事項を記録・保存した記録媒体

申請書に記載する事項のうち登記すべき事項については、申請書の記載に代えてCD-Rなどに記録・保存して提出できます。
その際CD-Rなどが申請書の一部となるため、内容を別途印刷して添付する必要はありません。

なおCD-Rなどの規格や記載方法は細かく決められているため、法務省の解説ページ([法務省]>[商業・法人登記申請における登記すべき事項を記録した電磁的記録媒体の提出について])を事前に確認しておきましょう。

2.法務局へ登記申請する

登記申請は本店所在地の管轄法務局で行います。

管轄法務局が異なると受理されないので注意が必要です!
管轄の法務局を調べるにはこちら([法務局]>[管轄のご案内])

書類に不備がなければ、申請から7~10日程度で会社登記は完了となります。

なお会社登記の申請は必ずしも法務局に出向く必要はなく、郵送あるいはオンラインで申請することもできます
簡単にご紹介するのでやりやすい方法を選んで登記申請を行いましょう。

GMOオフィスサポートでは商業登記を全て任せたい方に登記に強い司法書士をご案内しているほか、起業したてのかたに心強いビジネス支援サービスも充実

1.法務局に直接申請

管轄法務局の窓口に直接、会社登記(法人登記)に必要な書類とデータ一式を提出します。

内容に問題がなければ申請から約7〜10日で登記が完了し、法務局が申請を受け付けた日が会社設立日となります。

法務局側から登記完了の連絡はありませんが、登記住所宛に法人番号指定通知書という書類が届きます

なお提出書類に不備があったときは当該法務局の登記官から連絡があります。
その場合指摘された箇所を訂正して指定された期限内に再提出しなければいけません。
登記書類の提出時は職員にお願いをして書類の内容を確認してもらうようにしましょう。

2.郵送で申請

管轄法務局あてに記入した書類一式を郵送して登記申請する方法です。

郵送方法は何でも構いませんが、できれば確実に届いたことが分かる簡易書留や特定記録などで送ることをおすすめします。

なお書類が法務局に到着した日が会社設立日となるので、特定の日を設立日にしたい場合は配達日指定の郵便を利用しましょう。

登記の完了は法務局へ直接申請する場合と同じく7〜10日後となり、同じく登記完了の連絡はございません。
申請書類に不備があった場合は法務局に直接再提出するか、郵送で訂正することができます。

3.オンラインで申請

法務局が用意している登記・供託オンライン申請システム[登記ねっと 供託ねっと]や[法人設立ワンストップサービス]から、オンライン登記をすることもできます。

インターネット上でさまざまなやりとりが完結するためお忙しい方や遠方の方にはとても便利です。

商業・法人登記完了後に行うこと

商業・法人登記おつかれさまでした!!

ただ、登記が無事完了してもまだやるべきことは残っています。

「登記事項証明書(登記簿謄本)」と「印鑑証明書」の取得です。

銀行で法人口座を開設するときや税務署へ各種届け出をするときに登記事項証明書(登記簿謄本)が必要となります。
登記事項証明書を取得する方法は登記を行うときと同様に法務局に出向くほか郵送、オンラインでもできます。

また担保の設定や諸契約を行う際に印鑑証明書を求められることがあります。
登記時に取得した印鑑証明書は発起人個人のものなので、法人の印鑑証明書は会社設立後に取得する必要があります。

会社の設立直後は登記事項証明書と印鑑証明書を使う機会が多いので、どちらも複数取得しておくと良いでしょう。

GMOオフィスサポート

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